コラム一覧
手洗いとアルコール除菌、どちらが感染予防に効果的?
手洗いとアルコール除菌、どちらが感染予防に効果的?
手洗いやアルコール除菌は、今や感染予防対策として欠かせないものとなりました。この2つは特に感染予防に有効とされていますが、実際に予防効果が高いのはどちらなのでしょうか? そこで今回は、手洗いとアルコール除菌それぞれのメリット・デメリット、感染予防効果について考察していきます。
手洗いのメリット・デメリットは?
手洗いは手に付着したウイルスや菌などをしっかりと洗い流し、清潔な状態にできるのが大きなメリットです。ウイルスや菌だけでなく、手に付着した皮脂や垢などの汚れを落とすことで、すっきり快適になるのも手洗いのいいところです。
その一方で、ウイルスなどを取り除く力はアルコール除菌よりも低いといえます。
石鹸と流水で手洗いを30秒おこなったとき、皮膚に付着した病原体は手洗い前の1/60~1/600まで減ります。しかし、アルコールで30秒手指の消毒をおこなった場合は約1/3000と、手洗いよりも効果が高いのです。
(参考:https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/tohoku/about/pamph/documents/tearai.pdf)
ただし、ノロウイルスなど一部のウイルスに対しては、手洗いのほうが有効だとされています。
アルコール除菌のメリット・デメリット
アルコール除菌のメリットは、場所に関わらず手指消毒ができる点です。最近は携帯用のアルコールスプレー・ジェルなども多く販売されており、近くに手洗い場がない場合でもすぐにウイルス対策ができます。
また、ウイルスは手が濡れていると付着しやすい性質があります。アルコールは手洗いに比べて乾燥速度が早く、ウイルスが付着しにくいのもメリットです。
デメリットとしては、除菌効果は高いものの手指に付着した汚れを落とす効果はない、という点です。
さらに、ウイルスや菌の中にはアルコール除菌の効果が低いものも。特にノロウイルスなどはその代表例でしょう。
アルコール濃度が低い製品(60vol%未満)については十分な除菌効果が得られない可能性が高いため、製品の選び方にも注意が必要です。
手洗いとアルコール、感染予防にはどちらのほうが効果的?
手洗いとアルコールを比較すると、除菌効果が高いのはアルコールだといえます。
ただし、アルコールには手の汚れを落とす効果はありません。また、アルコールであっても使い方を間違えれば、十分な除菌効果は得られないでしょう。
アルコールを使用する場合は、たっぷりの量を出したうえで手の表と裏、指の股にまで行き渡らせ、20~30秒間擦り込みましょう。もし10秒くらいで乾いてしまった場合は、アルコールが足りていません。アルコールの量を足して十分に擦り込んでください。
また、先述もしていますが「手洗いは効果がない」というわけではありません。日常生活の場合、石鹸を使用してしっかり手洗いをおこなえば、十分な感染対策になります。手洗いはノロウイルスなどアルコールが効かない病原体に対しても有効です。
日常にはさまざまな病原体が潜んでいますが、全てに有効な方法はありません。その時の状況に応じた対策をとることが大切です。あらゆるウイルス・菌への感染対策を考えるのであれば、手洗いとアルコールを併用していくのがベストだといえるでしょう。
状況に応じて手洗い・アルコールで対策しよう!
手洗いとアルコール除菌はそれぞれ異なるメリットがあります。新型コロナやインフルエンザへの対策だけを考えるのであれば、アルコール除菌だけでも理論上は効果が得られるでしょう。 しかし、手の汚れやアルコールが効きにくいウイルス・細菌の事を考えると、手洗いのほうが有効な場合も多いのです。 感染対策には、状況に応じて手洗いとアルコール除菌をうまく使い分けることが大切。それぞれのメリットを活かしながら対策を続けていきましょう。